インド シッキム 春摘み　【テミ茶園】

お茶の香りをかいだ瞬間、はちみつと熟した桃の甘い香りがふわっと広がります。このお茶の香りを一口吸い込むと、まるで東シッキムの澄んだヒマラヤの空気と、そこを流れるテスタ川のせせらぎ、そして仏教僧の祈りのような小鳥のさえずりに包まれているような気分になります。
シッキムの丘陵地は、かつて王国であり、現在では有名なダージリンの丘もその領土の一部でした。イギリスはネパールからの侵略に備えるため、シッキム王国を保護国とし、その見返りとしてダージリンを手に入れたのです。その後、ダージリンでは19世紀初めにお茶の栽培が始まりました。シッキムでは、1969年ごろにダージリンの中でも特に優れた茶の品種を選び、手つかずの自然環境で茶の栽培が始まりました。こうして生まれたお茶は、驚くべき新しい風味を持っていました。
ご紹介するロットというお茶は、ダージリンでは一緒には見られない2つの特徴的な香りを併せ持っています。それは「甘いはちみつ」と「熟した桃」の香りです。そして、後味にはマスカテル（マスカットのような香り）とバタースコッチの風味が広がります。
草のような青い香りは少なめで、代わりにマスカテルの香りが意外にも強く現れました。本来マスカテルは春摘みには珍しいのですが、このロットは春のファーストフラッシュと、夏のセカンドフラッシュ、両方の良さを併せ持つ特別なお茶となっています。